第59章 宮城の夜
和「潤くんと翔さんは…俺の憧れだった」
「………」
和「こんな風になりたいって…いつも思ってた。なのに…よりによって元カノなんかと…」
「………」
和「翔さんがどれだけ彼女の存在に苦しんでたか…潤くん分かってるでしょ?」
「分かってた…」
和「じゃあ何で…!」
「分からない。分からないけど………でも…もし理由があるとすれば…今の状況から…逃げたかったのかもしれない…色んな状況から…」
和「………不妊治療の事?」
「………それだけじゃないけど…でも…思ってた。治療止めれば…翔が辛い思いしなくて済むって…また心から…愛し合えるって…」
和「………」
「何も考えずに愛し合いたかった…翔と…それで…太陽の成長…見守っていけたら…俺はそれだけで…」
和「………ズルい。潤くん…」
「………ズルいって…」
和「それに…本当に馬鹿…」
「………うん…」
和「翔さんの事…愛して。一生」
「うん」
和「誓って。一生懸けて愛していくって」
「誓うよ。一生懸けて…翔を愛していく」
大きく頷くと…にのが鼻を啜りながら俺の手を握った。