第59章 宮城の夜
沢山の色んな意味で忘れられない宮城での日々。
あっという間にコンサートの最終日。最後の挨拶。
いつも以上に緊張した相葉くんがそこに居た。
少し震え気味の彼の隣に俺達は並んだ。
ポンと背中を叩くと相葉くんが大きく頷く。
そして1歩前に出る。
この瞬間の為に…入念な打ち合わせを重ねてきた。
何があってもこの瞬間だけは笑顔で彼を支えよう。
4人で決めていた。
相葉くんが大きく息を吸う。
雅紀「………皆さんにお伝えしたい事があります」
ざわつき始める場内。
雅紀「私…相葉雅紀は………この度結婚する事になりました」
歓声と悲鳴に襲われる場内。
チラホラ啜り泣く声が聞こえる。
俺と翔が結婚して…りーだーとにのが結婚した。
唯一の独身貴族だった相葉くん。
一日も早く綾香ちゃんと結婚したかった筈だ。
それでも文句のひとつも言わずにこの日まで我慢してくれていた。
漸く事務所の許可が降り、相葉くんは「直接ファンに伝えたい。批判されてもいいから」と…言った。
その相葉くんの思いを大事にしたかったから宮城でのコンサートが決まった時、最後の挨拶で伝えようと決めた。
深々と下げる相葉くん。
そして徐々に…鳴り始める拍手。
「おめでとう!」
そんな声もチラホラ聞こえて。
雅紀「っっ…ありがとうございます…!」
相葉くんが泣いてしまった。
そんな彼を抱き締める様にして俺らは並んだ。
「最後の曲いける?」
雅紀「うぅっ…ごべん…」
和「ほらしっかり」
翔「おめでとう相葉くん」
雅紀「皆ありがど…」
智「よし。やるか!」
そして最後の曲が流れる。
俺達は…最後まで肩を組んで歌った。
こうして…俺達の宮城の日々は幕を閉じた。