第59章 宮城の夜
「ごめん…急に…役に勃たなくなっちゃって…」
「いいの…潤とこうしていられれば…」
「………ありがと…」
翔に抱き締められる様にして俺達は布団の中に収まっていた。
俺の涙が止まるまで…翔は背中を撫でてくれた。
翔「ねぇ…潤…」
「ん…?」
ふいに呼ばれ、顔を上げると翔が俺の涙の痕を指でなぞった。
翔「俺の事…愛してる…?」
「愛してるよ…愛してる。翔は…?俺の事…愛してる?」
翔「愛してる…愛してるのは…潤だけだよ。今までもこれからも」
「うん…」
見つめ合い、また熱いキスをした。
こうして抱き合ったのは…どれ位振りだったのか。
少し前までは当たり前の光景だったのに…
いつの間にか忘れていた。
それを理由にしてあんな事…許される筈はない。
けれど…俺は翔を愛してる。
この腕の中から手離す事は出来ない。
卑怯だ。
でも…それでいい。
にのの言葉が脳裏に響く。
『墓場まで持って行って』
俺のした事は許されない。
それでも翔を手離さない。
翔を一生掛けて愛そう。
それが俺の贖罪なのかもしれない。
翔「潤…」
「ん…?」
翔「ごめんね…」
額に柔らかい感触。
翔「潤だけだよ」
「俺だって…翔だけだ…」
布団の中で俺達はいつまでも抱き合っていた。