第59章 宮城の夜
「真央」
扉の向こうには…真っ直ぐに俺を見つめてくれる真央の姿。
「どうしたんだよ」
真央「………いたくて…」
「え?」
真央「………一緒にいたくて…」
「………」
暫く考えた後…俺は彼女の腕を引き、部屋へと入れた。
「とりあえず…水でも飲む?」
グラスに水を注ぎ入れ、真央に渡した。
「………」
真央「………櫻井さんが居ない時に…ごめんなさい。でも居ると…話せないから…」
「………真央…?」
グラスに水を注いでると…背中に真央の感触がした。
「真央…そんなに飲んでたっけ?酔ってる?」
真央「潤くん…この間電話で言おうと思ってた言葉…」
「………」
真央「………私…今でも潤くんの事…」
「真央…」
真央「好き。好きよ潤くん…」
グラスをテーブルに置くと…真央の身体を離した。
「………翔を愛してる」
真央「知ってる…」
真央の手が俺の頬に触れる。
何もしないでいるとそのまま真央が近付いてくる。
………逃げられた筈なんだ。
でも俺は…逃げなかった。
何年振りだろう。
唇に触れる真央の感触。
真央「好き…」
一度離れた唇が…また重なってくる。
脳裏に浮かぶ…翔の笑顔が曇っていった。
俺は目を閉じ…そのまま目の前の身体をベッドに押し倒した。