第59章 宮城の夜
ー翔sideー
2日目。
リハーサルを終えた俺達は控え室でつかの間の休息を取っていた。
昨日から潤とはまた口も聞けないまま時は流れていた。
『子供はいらない』
潤のあの言葉が張り付いて剥がれない。
俺の為なんだって…分かってる。
でも俺は………。
潤「翔」
「………え?」
不意に潤に呼ばれ驚いた。
「え…あ…何…?」
潤「………ちょっと…話せる?」
「………うん」
立ち上がると…にのが心配そうにこちらを見ていた。
大丈夫だと頷いて俺は潤に着いて行く。
潤に連れられたのは…会場の隅にある通路。
薄暗いそこは…ほとんど人気がなかった。
「どうしたの…潤…」
言い終わる前に潤に抱き締められた。
潤「………ごめん。本当にごめん。こんな時に…」
「………」
潤「あんな事…言うべきじゃなかった。あんな言い方…」
「………潤の気持ちは…分かるから…」
潤「………東京に戻ったら…ちゃんと話そう。これからの事。頼む…」
「………分かった」
潤「………ありがと」
「………ううん」
潤「本当は…東京に着いていきたいけど…」
「考えよう。自分の気持ち。どうすればいいか…俺も考えるから」
潤「………分かった。明日気を付けて」
「潤も…明日収録頑張ってね」
潤「うん」
そしてもう一度俺達は強く抱き合った。
大丈夫。
ちゃんと話し合って…少しずつ前に進もう。
どれだけ時間が掛かっても。
強く…そう思ったんだ。