第59章 宮城の夜
潤「こんなに苦労して…子供が出来たとして…俺達どうなるのかな…」
潤の指は…相変わらず俺の髪を絡めながら。
潤「排卵日だけ…時間きっかり測って…セックスじゃない。子作りして…子供出来たらその先は?幸せ?俺達元の夫婦に戻れるのかな…」
「どうしてそんな事…」
潤「俺は…翔とちゃんと愛し合いたい。愛し合ったその先に…子供が出来れば幸せなんだ。こんな…傷付け合ってまで…やる事?愛し合う事もせず…大事な息子傷付けて…そこまでして…2人目欲しい?太陽っていう宝が俺達にはあるのに…」
潤の言葉に言い返したい自分が居る。
でも言い返せなかった。
代わりに出るのは涙だけ。
俺の涙が潤のシャツを濡らした。
「………はっきり言って…」
そう言うと…潤が大きく息を吐いた。
潤「………子供は…いらない」
「………支えるって…言ってくれたのに…」
潤「ごめん…」
俺を抱き締める潤の腕に力が入る。
潤「もう止めよう。薬も…子作りも。俺は…翔に笑って欲しい。太陽に笑って欲しい。そうすれば俺も笑える。今は…笑えない…」
「………ぐすっ…」
潤から顔を背けても潤は俺を抱き締めたまま。
潤「ごめん…ごめん翔」
潤は何度も何度も…俺に謝っていた。
潤「ごめん…」
「止めてもう…」
潤「愛してる…」
「ずるいよ…潤…」
潤「分かってる…」
潤を責めながら…潤が俺に謝りながら。
俺達はそれでも時間が来るまで抱き合っていた。