第58章 cleavage
ー潤sideー
「ふぅ…」
一息付いてパソコンから目を離すと、時計はもう14時を回っていた。
「もうこんな時間か…さすがに腹減ったな…」
部屋を見渡すと翔の姿はない。
俺が起きてきて直ぐに出てってから…一度も戻って来ては居なかった。
「………避けちゃったから…当然だよな」
俺…何やってんだろう。
翔を支えるって決めたのに。
一緒に頑張ろうって決めたのに…。
真央の事を理由にして…薬止めろだなんて。
これで翔が薬を止めてくれたらって…どこかそう思う自分が居て。
翔は頑張ってるのに…。
でも俺は…これ以上翔の身体に負担を掛けたくない。
愛する人の身を削ってまで…やりたくない。
でも…だからって避けるなんて。
夫として…失格だ。
翔が居ないと駄目なのは1番分かってるのに。
昨日だって…眠れなかった。
翔を抱き締めてないと…眠れない。
話そうちゃんと。
夫婦なんだから。
一緒にお昼食べて…もう一度。
立ち上がり、俺は寝室へと向かった。
「………?」
寝室から翔の声がする。
………誰かと話してる様な…。
電話…?
俺は…静かに寝室の前に立った。
翔「ふふっ…馬鹿だなもう…」
楽しそうな…話し声。
誰だ…?にの…?
翔「………うん、斗真…」
斗真…?
翔「うん、好きだよ…」
「………!」
カタカタと…俺の手が震えた。