第58章 cleavage
翔母「図工の授業でね。家族の絵を描いたのよ。それを見せたかったから…太陽は起きてたの」
「………」
画用紙を持つ手が震えた。
「俺何してんだろ…子供に当たって…」
翔母「明日ちゃんと謝りなさいね」
「………うん」
翔母「それじゃ帰るわ。おやすみなさい」
潤「お義母さん。遅いですし泊まって…」
翔母「いいのよ。何があったのか分からないけど…ちゃんと話し合いなさい」
「………」
マネージャー「あ、私お送りします」
翔母「じゃあお言葉に甘えようかしら」
「ごめん。お願いします」
マネージャー「いえ。また明日」
潤「お疲れ」
マネージャーが出て行くと部屋にまた静けさが戻る。
俺は…引き出しを開けピンを取り出し、太陽の描いてくれた絵を壁に貼った。
「太陽…ごめん」
そう呟くと…潤が後ろに立った。
潤「翔」
「………」
潤「なぁ。薬…やっぱり止めよう」
「は?」
振り返ると潤に肩を掴まれる。
潤「薬のせいで気分が安定してないのは分かる。俺も…頑張りたいけどでも…今日の翔はおかしいよ。真央の事だけならまだしも太陽にあんな事…」
「それは俺も反省してる。ごめんなさい。でも…」
薬とこれとは違う…違うんだ…!
「翔…」
「出来ないよ…赤ちゃん諦めるなんて俺には出来ない」
潤「誰も諦めろなんて言ってないじゃないか」
「同じ事だよ!俺には…同じ事なんだよ!出来るまでやんないといけないんだ!赤ちゃんが出来るまで…!」
潤の胸を押すとよろけながら潤が俺から離れる。
潤「………俺…分からないよ」
「何が…?」
潤「ごめん。もう寝る」
「潤!」
俺が呼んでも潤は振り返らずに出て行ってしまった。