第58章 cleavage
隣でうつ向いた真央は…深いため息を付いて項垂れていた。
長い髪で表情は見えなかったけれど…辛そうにしているのが分かる。
「真央…そんな事ない」
真央「………歴代最低視聴率だって」
「………」
真央「もう…分かんない…」
「真央」
手を伸ばし、真央の手を取った。
「世間の評判なんて気にすんな。真央の演技力は皆分かってる。戦犯を作りたいのは日本人の特徴。いつも話してたじゃんか。お前だけのせいじゃない」
真央「………そうだけど…」
「これからも真央の精一杯で頑張れ。それに俺は…面白いと思うぞ。いつも観てるよ」
真央「………本当に?」
「うん。だからこれからも…楽しませてくれよ」
真央「………ありがとう潤くん…」
顔を上げた真央の目には涙が光っていた。
「泣くなって」
ポケットからハンカチを取り出して真央に渡した。
真央「ありがとう…潤くん」
「何もしてないよ俺は。思ってる事を言っただけだよ」
真央「それが嬉しいの。その言葉だけで嬉しかった。これからも頑張る」
「うん。あ、そろそろ行かないと」
真央「ごめんね。ありがとう」
「9月には撮影終わってるよな。宮城来てくれる?いつもみたいに旬達と」
真央「うん。楽しみにしてる」
「じゃあな」
真央「潤くんも頑張って」
「おう。じゃあまた」
手を振りながら真央と別れた。
そのまま俺は打ち合わせに戻った。