第57章 友情と愛情
旬「斗真!おい斗真待てよ!」
人だかりの多い街中に旬の声が響く。
振り返る女の子達が俺と旬を見て驚いた顔をしている。
それらを押し退けて俺は歩いた。
旬「斗真!」
旬が俺の肩を掴んだ。
旬「お前…何か変な事考えてないだろな」
「変なって…何をだよ」
旬「………俺は…その時の事は話でしか知らない。でも…2人の事はちゃんと納得したんだろ?付き合い始めた時も…結婚した時も」
「………」
旬「潤は…親友だろ。俺達の」
「そうだよ」
旬「だったら…止めろ」
「………何を」
旬「言わなくても分かるだろ。止めろ。あの人は…親友の奥さんだ。子供だって居る。だったら…入る隙間なんてない」
「………分かってるよ」
旬「だったら…」
「俺の願いは!………あの人が笑顔で居る事だけだ。それだけが…願いなんだよ」
旬「………」
「悪い旬…もう大丈夫だから」
旬「斗真」
心配そうな斗真に背を向けて俺は夜の街を歩き始めた。