第57章 友情と愛情
平日の昼間はあまり面会の人達も居ないみたいで…院内散歩してる人達はまばらだった。
あまり見られなくてホッとしながら俺は翔くんの乗る車椅子を押した。
「潤は今日は遅いの?」
翔「そんなに遅くならないって言ってたから夕方には終わるんじゃないかな」
「そっか」
翔「俺のせいで潤やメンバーにも…事務所にも迷惑掛けて…」
「何言ってんだよ。今はそんな事気にしないでいいんだよ」
翔「ありがとう斗真」
大きな鯉が泳ぐ池の前のベンチに車椅子を寄せて止めた。
俺は車椅子の前に腰を降ろして翔くんの手を取る。
「………何か…出来る事あったら言って」
翔「斗真…」
「俺なんか何の役にも立たないってのはよく分かってる。それでも…ほんの少しでも1ミリでもいい。翔くんがまた…笑える様になるなら何でもする」
翔「………ありがとう」
そう言って…翔くんは少しだけ笑った。
翔「潤にはまだ言ってないんだけどね…」
「うん?」
翔「体力戻ったら…もっとちゃんと治療しようって…赤ちゃん出来る様に…」
「翔くん…でも今は翔くんが元気になる事だけ考えたら…」
翔くんが…静かに首を振った。