第57章 友情と愛情
翔「………斗真…」
「翔くん…」
病室に入ると…翔くんはベッドに腰掛け本を読んでいた。
大きな瞳が驚いた様に俺を捉える。
「翔くん…もう…身体は…」
翔「あ、うん…大丈夫。来週には退院出来るって」
「………そっか。よかった…」
ほんの少しだけ微笑んだ翔くんを見て…少しホッとした気になった。
「あ、これ…。地方からそのまま来たからこんなもんしか…」
空港前の花屋で買った花束を差し出した。
翔「綺麗。ありがとう」
「俺がやるよ。花瓶は…」
翔「あ、そこ」
「借りるね」
花瓶を水を溜め、花を飾る。
その様子を翔くんはジッと見つめてた。
翔「斗真…」
「ん?」
翔「地方って言ってたけど…もしかして撮影してたの?」
「あぁ。まぁね。今日は休みだから」
翔「ごめんね心配掛けて。忙しいのにごめんなさい…」
そう言う翔くんは本当に儚げで今にも壊れてしまいそうな程に小さく見えた。
抱き締めたい…。
そんな想いを抑え、俺は翔くんの手を握った。
「心配するのは当たり前だよ。だって…」
翔「………」
その先の言葉を飲み込むと…察したのか翔くんは目を反らした。
病室の空気が重くなる。
どうしよう…元気付けたかったのに空気悪くして…。
翔「あのさ…さ、散歩でもしない?」
そう言いながら翔くんは立ち上がった。