第56章 Struggle
ー翔sideー
ふと、目を覚ますと辺りは闇に包まれていた。
顔を上げると…潤が俺を抱き締めて眠っている。
泊まってくれたんだ…明日も仕事なのに。
申し訳ない気持ちとは裏腹に嬉しくて。
そっとその唇にキスをした。
自分が…こんなに弱い人間だとは思わなかった。
あの日から…何度日を重ねても…涙は枯れなくて。
前を向こう。
そう思っても…出来ない。
それにまさか…知られたくない事を…週刊誌の記者に知られてるなんて。
潤に言ったら…また心配される。
大丈夫。
事務所が…きっと何とかしてくれる。
だから俺も…しっかりしないといけない。
もう1人赤ちゃんを授かればきっと…。
でも…授からなかったら?
もう二度と…戻ってきてくれなかったら?
お願い神様…。
もう一度…俺に…。
その為なら俺は何でも…。
だから…。
「潤…頑張るから…」
そしてまたぎゅっと…潤に抱き着いた。
潤の吐息。
潤の香り。
潤の温もり。
胸に刻みながら俺は目を閉じた。