第56章 Struggle
記者「どうも。櫻井翔さん」
「………」
看護士さんを見ると怯えた表情で記者を見ていた。
「大丈夫ですから」
そう声を掛けると…人を呼んでくると言ってその場を走って行った。
記者「インタビューいいですか?」
スイッチを入れたボイスレコーダーを俺に向ける。
「事務所通して下さい」
記者「それが可能ならしてますよ。分かってるでしょ」
「お帰り下さい」
記者「生放送で倒れられたのは…流産されたからというのは本当ですか?」
「お帰り下さい」
記者「不妊治療されてると聞いたんですが…本当ですか?」
「お話する事はありませんから!」
ボイスレコーダーを記者に押し返す。
記者「貴方の不妊の原因…あの事件が原因なんでしょ?2009年のストーカー事件…」
「………!」
心臓が…掴まれた様に感じた。
呼吸が…止まった様に…思った。
察した様に、記者の口角が上がる。
記者「………犯されたんでしょ?貴方…あのストーカーに」
「………違う…それ、は…」
喉が乾く。
上手く…喋れない。
遠くで…看護士さんと警備員さんの声が聞こえた気がした…。