第56章 Struggle
ー翔sideー
温かい日差しがカーテンの隙間から流れる。
眩しい…。
時計はとっくに昼過ぎを指していて。
今日は…誰もお見舞いには来てない。
俺の居る個室は静かだった。
ため息を付くとタイミングよく病室の扉が開いた。
看護士「松本さん。お薬の時間ですよ」
「あ、はい…」
手渡された薬を飲んでいると看護士さんが勢いよくカーテンを開く。
看護士「いいお天気ですよ。お散歩でもしませんか?」
「いえ…大丈夫です」
看護士「元気…出して下さいね。ご主人もいつも心配なさってましたから」
「………ありがとうございます」
うるさいな…俺の気持ちなんて分からない癖に。
看護士「素敵なご主人ですよね。格好よくて優しくて。こんな事言っちゃ駄目なんですけど…私ずっと松本潤さんのファンで…」
俺の熱を測りながら笑顔で話しかけてくる看護士さん。
俺も静かに相討ちをする。
気を使ってくれるのは分かってる。
でも…うるさい。
今そんな中身のない話…聞きたくないんだよ。
「………すみません。トイレ…行って来ます」
逃げる様に…俺はベッドから立ち上がった。