第56章 Struggle
抱き締めた翔の身体は案の定、細くなっていて…。
頬にキスをすると翔が俺の方を向いた。
「翔」
翔「何…?」
「俺を見て」
翔「見てるよ…?」
「そうじゃない。俺を見て」
翔「………」
「俺だけ…ね」
囁くと…翔が俺に項垂れた様に抱き着いてくる。
翔「………ごめんなさい」
「何で謝るの」
翔「………赤ちゃん…産めなくて」
「翔。それは違うから…」
翔「でも…」
「翔は何も悪くない。謝らないでくれよ」
翔「潤…」
「俺達には太陽が居る。だからもういいんだ。3人で生きていこう。な?」
翔「………無理だよ」
「翔…」
翔「………ここで諦めたら…失った子達がお腹にきてくれた意味がないんだよ。だから俺は…諦めたくない」
「………でも…」
翔「ごめん潤。退院したら頑張るから。だから…」
「………」
「今は…休みたい。側に…居て?」
「分かった。側に居るから」
翔の身体をそっと抱き締める。
翔が望むなら…俺は精一杯支えよう。
翔が笑顔でいてくれる為に。
翔「ありがと…潤…」
か細い翔の声が胸に響いた。