第55章 険しい道の始まり
ー潤sideー
「おっす~」
旬「潤!お疲れ」
旬との約束の場所。
待ち合わせの時間に旬は既に到着していた。
手を上げて隣に座ると旬がオーダーを通す。
「久し振りだな2人で飲むの」
旬「そうだなぁ」
「どう?子育ては」
旬「いやーすげえよな母親って。家事も育児も仕事も…。俺なんて…出る幕ねぇんじゃないかって位頑張ってるよ」
「そっか…」
出されたビールと枝豆をつまみにしながら笑い合う。
旬「そっちは?どう?」
「うん…」
枝豆を転がしながら考えてると…旬が煙草を取り出して火を付けた。
「………俺も貰っていい?」
旬「お。珍しい何年振り?」
差し出された煙草をくわえて火を付ける。
「ふぅー…」
吐き出した煙を見ると…何か落ち着いた気がした。
旬「何かあった?」
「………俺…翔の事支えていけるのかな…」
旬「ん?どうした…」
「………いや…」
旬「………この間話してた…不妊治療の事?」
「うん…」
旬「翔くんと…何かあった?」
旬が俺の顔を覗き込んだ。
「いや…頑張ってるよ。俺も支えたいって…本気で思ってる。もう一度…子供を抱かせてあげたいって…本気でさ。でも…現実は…そう上手くいかないっつーか…思ってるのと…違うっつーか…」
旬「………まぁ、なる様にしかならないよな。でも…先ずは翔くんが納得出来る様にさ。支えてあげられるのはお前だけしか居ないんだから」
「うん。分かってる」
頷きながら俺は…残りのビールを一気に流し込んだ。