第55章 険しい道の始まり
潤「おはよ…」
「あ、おはよう潤」
太陽「おはようパパ!」
潤「おはよう太陽」
食事をしている太陽の髪撫でている潤とふと目が合う。
潤「………」
そのまま黙って潤が椅子に座る。
俺は急いで朝食をテーブルに並べた。
潤「頂きます」
太陽「ごちそうさま!」
「はい。じゃあお着替えしてきて?出来る」
太陽「うん!」
椅子から降りて太陽は部屋へと走って行く。
キッチンがシンと静まり返った。
潤は黙々と食事をしている。
「あの…潤」
潤「………ん?」
潤の手が止まった。
「昨日は…ごめんなさい。最中に…あんな事。それに…シャワー浴びてる間に寝ちゃって」
潤「………」
「ごめんなさい。でも…どうしても…早く欲しい。赤ちゃん…」
潤「………俺は…焦りたくないし…いつでもいいと思ってる。それじゃ…駄目かな…」
「………俺達もう…30代だし…仕事の事もあるし出来たら早く欲しい。だから俺…映画とか連ドラの仕事今は入れない様にしてるし…」
潤「………」
「お願い…どうしても…譲れない…」
潤「………おいで」
差し出された手をそっと握ると…その手を引かれ、俺は潤の膝の上に座った。
潤「………正直俺は…そこまでして欲しいと思ってない。でも…翔が欲しいなら協力するって決めた。それに…こんな事で喧嘩はしたくない」
「うん…」
潤「お互い努力しよう。上手くやっていける様に。な?」
「………うん」
頬に触れる潤の唇。
そのまま俺は潤に抱き着いた。
「………ありがと…」
潤の手が…いつまでも俺の背中を撫でてくれていた。