第55章 険しい道の始まり
和「それで?検査はいつ分かるの?」
「来週。一週間長い…」
大野家のダイニングで俺はテーブルに突っ伏した。
和「大丈夫。きっと翔さんと潤くんなら上手くいくよ」
「ありがとね…にの…」
和「何言ってんの。でもさ…」
にのの視線が…リビングで遊ぶ太陽と和香ちゃんに向く。
和「俺が…あの時ハワイで子供達を頼んだから…翔さんに辛い思い…させたね」
「にの。違うよ」
和「でも…」
「確かに…きっかけのひとつにはなったけど…にのが気にする事ないよ。前から…考えてたんだ。踏ん切りが付かなかっただけで。むしろ…背中を押してくれたって…思ってる」
和「翔さん…」
「出来る事はしてあげたいんだ。だから…頑張るよ。今年は俺も潤も芝居の仕事はないし…3人は大変だけど」
和「俺は夏からだから。それまでに和香の幼稚園決めないと」
「智くんと同じとこじゃないの?」
和「定員いっぱい。下手したら待機児童になっちゃいそうで…」
「そっか…大変だね」
和「いやいや。こっちの仕事に比べれば」
笑いながらテーブルに置かれた台本を指差す。
「でもほんと…にのが吉永小百合さんと共演なんてね…」
和「足引っ張らないか心配」
「大丈夫だよにの。頑張って」
和「うん。ありがとね翔さん」
にのの可愛い手をしっかりと握り締めた。