第55章 険しい道の始まり
15周年のツアーを終え、そして年末までしっかりと埋まったスケジュールをこなし、年は明け2015年になった。
寒い1月の半ば。
俺と翔は…都内の病院に居た。
今日から不妊治療の第一歩。
とは言っても…今日は問診と検査。
問診と検査でこれから治療方針が決まってくる。
どんな結果になるのか…怖い気持ちは翔も同じみたいで。
待ち合い室のソファーでずっとうつ向いていた。
「松本さん。どうぞお待たせしました」
看護師に呼ばれ一緒に立ち上がる。
翔の手を握り締め、先生の待つ部屋へと入った。
「失礼します」
医者「どうも初めまして。担当の中村と申します」
「初めまして松本です。宜しくお願いします」
翔「宜しく…お願いします」
医者「どうぞお座り下さい」
促され、翔と並んで椅子に座る。
医者「えっと、早速ですが今回不妊治療を受けられたいと言う事で…これから検査に入ります。今から問診をしていきたいのですが…」
「はい」
医者「………非常にお答えにくい質問を…していく事にもなると思います。旦那様にも。奥様にも」
「………はい」
医者「治療の為にやる事ですから…ご了承…願えますか?」
翔「………はい」
隣の翔が…俺の手を握りながら…頷いた。
医者「………分かりました。では…始めます」
先生が電子カルテを持ちながら、咳払いをした。