第55章 険しい道の始まり
智「松潤何飲む?」
「え。奢ってくれんの?」
智「んふふたまにはな」
「え…じゃあ何にしようかな…炭酸かな…」
智「ほい」
ガタガタと自販機から出てきた炭酸を俺に渡してりーだーはスポーツドリンクを買った。
目の前のベンチに腰掛けるとりーだーは一気に半分程飲み干した。
智「ふぅ…」
「………」
智「で、どうした?」
「ん?」
智「構成の事だけじゃないだろ?悩んでるの」
「………何で分かんの」
智「んー…何となくな」
りーだーの目尻が下がる。
さっきと全然違うな…。
いつもの優しいりーだーの顔…。
「………翔がさ…不妊治療やりたいって話したじゃん」
智「うん」
「心配なんだよ。翔…無理しちゃわないかって。勿論支えたいと思ってる。でもさ…ネットで色々調べたりしたんだけど、本当に大変みたいで」
智「………そっか。でもさ松潤。やらなくて後悔するよりはさ。やって後悔する方がいいと俺は思うんだ」
「そうかな…」
智「翔くんが納得いくまでやってみたらいいさ。翔くんと松潤ならきっと乗り越えられるよ。どんな結果になってもね」
「ありがとうりーだー。少し…気が楽になった」
心にまだほんの少し残る気持ちを拭いながら…俺も握り締めたジュースを一気に飲み干した。