第54章 決意を胸に
ー潤sideー
「よいしょ…重くなったなぁ…」
潤がゆっくりと太陽をベッドに横たえる。
半日以上のフライトで疲れた太陽は既にぐっすりと眠ってしまった。
翔「虎鉄。太陽頼むね」
翔が抱っこしていた虎鉄を降ろすとそのままベッドに上がり、太陽にすり寄っていく。
翔「虎鉄長い間ごめんね。明日美味しいご飯かつお節多めであげるからね」
虎鉄「にゃー」
了解と言わんばかりに翔が差し出した手をペロリと舐めた。
「お休み太陽。虎鉄」
部屋の電気を消して、俺達はリビングへと移動した。
翔「潤お風呂入って来たら?俺ご飯作るから」
「そう?ありがとう。お先に」
夕食を翔に任せて俺は先にシャワーを浴びた。
キッチンに戻るといい香りが漂っている。
翔「軽くでいいよね?冷凍うどんあったから」
「ありがと」
テーブルに並べられた温かいうどん。
翔と向かい合わせに座った。
野菜が多めの温うどんは俺達の旅の疲れを癒してくれる様な、優しい味だった。
翔「潤。あのね…」
半分程食べた所で翔が口を開く。
「ん?」
顔を上げると翔が真剣な眼差しを俺に向けていた。
「………どうした?何かあった?」
すると…翔が深呼吸をして、こう切り出した。
翔「………俺…不妊治療受けたい」