第52章 6年目のハッピーウエディング
さとしが出て行った後、暫くするといよいよ開始の時間。
部屋を出ると、扉の前には久し振りに見る人の姿があった。
ゆっくりと近付くと…その人は俺を見て笑顔になる。
和父「和也…」
「父さん」
俺も…笑顔の父さんを見て笑顔になった。
「来てくれて…ありがと。大変だったでしょわざわざハワイまで」
和父「何言ってるんだ。私を呼んでくれただけでありがたいよ」
「当たり前じゃん。父さんなんだから…」
和父「和也…」
「父さん…聞いて」
俺は…手を伸ばして皺の増えたその手を取った。
「父さんが…憎かった。家族を傷つけた父さんが…」
和父「………」
「こんな思いをするんなら…結婚なんてしたくない。俺は…ずっと1人で生きてくって思ってた…さとしと…付き合うまでは」
父さんの瞳から…涙が溢れる。
「さとしと結婚して…子供達が出来て…親になって気付いたんだ。親の愛は…無限だって…」
和父「和也…」
「素直になれなくてごめん…でも…今心から思うよ。過去の過ちより…今の父さんと…寄り添って生きていきたいって。ずっと…言いたかった」
和父「ありがとう…和也…ありがとう…本当に…すまなかった…」
「もういいよ。これからもよろしくね…父さん」
和父「ありがとう…」
「もう…泣かないでよ」
和父「すまん…」
ハンカチで父さんの涙を拭ってると音楽が鳴り出した。
「行こう父さん。エスコート…宜しくね」
和父「ああ」
そして…チャペルの扉が大きく開かれた。