第50章 結婚式に向けて
「本当にありがと。気を付けてな」
和「うん。後一踏ん張りね。待ってるから」
「寝てていいって」
和「待ってる」
「………分かった。でも眠かったら寝ろよ?」
和「うん」
休憩を終えてかずと楽屋を出ると奥の楽屋から松重さんが出て来る。
和「松重さん」
松重「二宮くん。帰ると?」
「はい。お邪魔してすみませんでした」
松重「いやいや。差し入れご馳走様。美味しかったよ」
和「ありがとうございます」
かずが松重さんに頭を下げる。
松重「二宮くんともまた仕事出来ればいいね」
「はい。是非」
松重「じゃあまた」
松重さんはスタジオへと歩いて行った。
「じゃあ…おいらも行くよ」
和「うん」
かずが蝶ネクタイを整え、ポンと胸を叩かれる。
「いってきます」
和「いってらっしゃい」
かずに背中を向け、歩き始めた。
和「さとし」
数歩歩いたところでかずに呼び止められる。
振り返った瞬間、目の前にはかずの顔。
「か…」
抱き着かれたと同時にそのまま唇を塞がれた。
かず…。
茫然としながらもその華奢な身体を抱いてると、ゆっくりと唇が離れる。
「………かず…」
和「………たまには、ね…」
照れ笑いを浮かべるとかずがおいらから離れた。
和「じゃあね」
そのまま急ぎ足でかずは去って行った。
かず…。
「………かーわいいな…」
かずの背中を見送った後、幸せな気持ちになりながら、おいらはスタジオへと歩いて行った。