第49章 15周年の始まり
暫く考えていた後…智香はゆっくりと顔を上げた。
智香「パパ…お母さん…」
和「うん」
「うん」
智香「結婚式…して?」
和「智香ちゃん…」
「………いいのか?」
智香「うん」
にっこりと…おいらとかずを見て智香は頷いた。
智香「………ママがね…言ってたの。2人が最後まで仲良く出来る様に…智香見ててねって」
和「亜香里さんが…?」
智香「ママ…入院してる時言ってた。『パパは…あの人だから好きになった』って。『パパが世界中でたった1人愛した人だから素敵な人。智香も大好きになるよ』って。最初は嫌だった。でも…分かるよ。お母さん大好きだから。だから…いいよ」
和「智香ちゃん…」
かずの瞳にうっすらと涙が滲んだ。
「そんな事言ってたのか…」
智香「ママの写真…持って行ってもいい?」
「亜香里の?」
智香「きっとね、見たいって言うと思うから…」
和「勿論いいよ。ママの席も…用意しておく」
智香「ありがとう。ママ喜ぶよ」
鼻をすすりながらかずが智香を抱き締めた。
亜香里…。
10代で産んで苦労して育てただけ…智香は本当にしっかりしてる。
まだ12歳なのに…大人だ。
お前の娘は最高だよ。
………ありがとう。
見ててくれよな。結婚式…。
おいらは心の中で…亜香里に呼び掛けた。