第48章 最愛の家族
ー翔sideー
「もしもしにの?」
和『翔さん?どうしたの?』
「ううん…子育て大丈夫かなって気になって。どう?順調?」
和『うん何とか。智香ちゃんが居る時は凄く手伝ってくれて…助かってるんだ』
「そっかぁ…」
和「智も今忙しいから手伝えって強く言えなくて…。でも母さんも手伝いに来てくれてるから平気だよ」
「パンクしてないなら良かった」
和『ふふっ。ありがと翔さん。今度遊びに来て?』
「うん。あのさにの…」
すると電話口で和香ちゃんの泣き声が聞こえた。
和『あ、ごめん…和香多分ミルクだ』
「うん。また電話するね。またね?」
和『うんまた』
電話を切った後スマホをテーブルに置く。
そのスマホの隣には…使ったばかりの妊娠検査薬があった。
期待していた赤い印は…出なかった。
「はぁ…最近の吐き気はただの体調不良か…」
気持ちを吐き出したくて…にのに電話したけれど…言えなかった。
子育てでいっぱいいっぱいで…そんな余裕ないだろうに。
子供は授かり物。
それは分かってる。
それに俺達は授かってる。
太陽という宝がいる。
それも分かってる。
でもやっぱり…近い所で子供が産まれると…考えてしまう。
出来れば…もう1人欲しい。
でもなかなか授からなくて…。
俺は検査薬を紙袋に戻し、ぐしゃぐしゃと丸めて捨てた。
「考えても仕方ない…よし!頑張ろ」
夕飯の準備をしようと俺はキッチンへと行った。