第46章 母と呼ばれた日
「本当にご苦労さん。ありがとう」
和「うん」
「疲れたろ?」
和「うん…でも…智也と違って早かったんだ。分娩室に入って30分掛からなかった」
「マジか。良かった…超安産だな」
和「うん」
「………智香の事…もう心配はないかな?」
和「多分ね」
「そっか」
和「俺…この子が産まれたのと同じ位…『お母さん』って呼ばれた事…嬉しかった」
「かずの気持ちが通じたんだよ。苦労させてごめんな。ありがとう」
和「ううん。これからさ…5人家族のスタートだから…頑張ろうね」
「おう」
顔を寄せ、かずにそっとキスをする。
「あのさ…名前だけど…」
和「うん。考えてくれた?」
「なかなか思い付かなかったんだけどさ…今何となく降ってきたんだよね。かずと智香見てて」
和「なぁに?」
「………和也の和と…智香の香でさ…和香ってどうかな…」
和「………和香…大野…和香…」
「………変かな…」
和「何言ってんの。最高だよ…素敵な名前」
「良かった…」
和「和香ちゃん…パパとママだよ?宜しくね…」
「和香。わーか。宜しくな」
おいら達はスヤスヤと眠る小さな命を…飽きる事なく見つめていた。