第46章 母と呼ばれた日
バツの悪そうな相手の母親は…最後には平謝りをして逃げる様に帰って行った。
俺は校長先生と小林先生と話をした後…智香ちゃんと一緒に帰るようにした。
今日はゆっくり休みなさいと小林先生から許可が出た。
小林「本当に今日は…すみませんでした」
「いえ。本当の事が分かって良かったです。娘はいい友達を持ちました」
小林「ええ。ここだけの話…智香ちゃんが怪我させるなんて信じられなかったんです。もっとちゃんと調べていれば…」
「いえ。ありがとうございます。それじゃ…失礼します」
小林「お気を付けて。智香ちゃんまた明日な」
智香「はい。せんせいさよーなら」
先生と別れて歩き始める。
智香ちゃんは俺のすぐ後ろを歩き始めた。
歩いてると突然右手に温かい感触がして振り返る。
「………智香ちゃん…」
恥ずかしそうに…智香ちゃんが俺の右手を握った。
「………帰ろっか」
そう言うと静かに頷いた。
これも彼女なりの…アピールなのかな…。
俺は智香ちゃんと手を繋いだまま帰り道を歩いた。
目の前の横断歩道の信号が赤から青に変わる。
俺と智香ちゃんが一歩踏み出したと同時に威勢のいいクラクションとエンジン音が鳴る。
「えっ…!」
驚いてその方向を見ると…信号無視をしようとした車がこちらに向かって突っ込んで来た。
「あっ、危ない!!」
俺は咄嗟に智香ちゃんを庇った。
その拍子に足を引っ掛け転んでしまった。
急ブレーキをかけながら車はまだこちらに突っ込んで来る。
「智香ちゃんっっ…!!」
キキィィィィーーーーッ!!!
けたたましい音とタイヤの焦げた匂いが辺りを騒然とさせた。