第45章 心の傷
智香「ふっ…ふぇ…」
さとしに叩かれた頬を抑えながら智香ちゃんは泣き出した。
智「智香何でだ…!ママが死んだ事はおいらも辛くて悲しいよ。お母さんに辛く当たるのは止めろ。お母さんは何も悪くないんだ。頼むから分かってくれよ…!」
智香ちゃんを叩いた手を握り締めながら…さとしは悲しそうに智香ちゃんを見ていた。
「智香ちゃん…大丈夫?」
俺は智香ちゃんの元に駆け寄りそっと頬に触れる。
「ごめんね痛かった?俺は平気だから気にしないで?パパにはちゃんと言っておくから」
涙を拭うと智香ちゃんはぷいと顔を背ける。
「ママの事…忘れる必要なんてないんだよ?俺の事お母さんなんて言う必要もないから。でもさ…もう少しだけ…仲良くしてくれたら嬉しいって思う」
智香「………わすれてほしいっておもってるくせに…」
「え?」
智香「パパにママのことわすれてほしいから…あんなことしてるんでしょ?ひどい!」
智「智香…?」
智香「きのうみたんだから!パパと…はだかで…」
「と、智香ちゃん…」
昨日って…セックスしてるとこ…見られた…?
智香「どうせママの事きらいなんでしょ!だからママからパパをとったんだ!」
智「智香違う!お母さんは…」
智香「お母さんなんかじゃない!だいっきらい!!だいっきらいっっ!!」
大声で叫ぶと…智香ちゃんは走って部屋に籠ってしまった。
智「智香!」
「さとしいいから!」
智香ちゃんを追い掛けようとしたさとしの腕を引っ張る。
智「かず…でも…」
「いい。俺が悪いから…だからそっとしておいて?」
智「………かず…」
「………ごめんさとし…ちょっと今日は…心折れそうかな…ごめん。頑張るって言ったのに…」
堪えきれずに俺の瞳から涙が溢れる。
さとしは何も言わずに俺をずっと抱き締めてくれていた。