• テキストサイズ

君と僕の見ている風景【気象系BL小説】

第45章 心の傷


ー和也sideー


「さ、着いたよ」


タクシーを降りると智香ちゃんも俺に並んで降りた。


智が智也をベビーカーに乗せて歩き出すと智香ちゃんは一歩後ろを歩き始めた。


「智香ちゃんおいで?人多いから迷子になっちゃうよ」


手を繋ごうと差し伸べると智香ちゃんが俺を無視して追い抜いてしまう。


「………」


智「智香…」


「いいって平気。俺がベビーカー押すからさとしは智香ちゃんお願い」


俺はさとしの背中をポンと叩いてベビーカーを押した。


さとしが智香ちゃんの元へ行くと…それでも智香ちゃんは手を繋ごうとしない。


どうしたんだろ…。いつもより様子が変だ。
さとしになら笑顔を見せるのに…。


初めての遊園地。
少しでも智香ちゃんが笑顔になればと思って来たけれど…。


せっかくの遊園地は…あまりいい思い出も作れずに時が過ぎて行った。










家に帰り着く頃には…温厚なさとしも限界が来ていた。


智「智香」


何も言わずに部屋に入ろうとする智香をさとしは呼び止める。


「来なさい」


智香「………」


「どうしたんだよ今日は。何かあったのか?」


智香「………」


「さとし。もういいから。疲れてたんだよね智香ちゃん」


俺が間に入り、さとしを落ち着かせようとする。
それでもさとしは止まらなかった。


智「何かあるなら言わないと駄目だろ。せっかく家族で遊園地行ったのに。お母さんだって…」


智香「お母さんなんかじゃない!」


智香ちゃんが顔を上げ、俺に向かって叫んだ。


智「智香!!」


「さとし!」


さとしの手が…智香ちゃんの頬に飛んだ。
/ 1278ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp