第43章 divorce
ー智sideー
亜香里が一通り話した後、おいら達の間にはしばらく沈黙が流れた。
かずはぎゅっと拳を握り締めたまま…うつ向いて聞いていた。
亜香里「………智は育ててくれるって返事を貰いました。赤の他人の貴方に我が子の面倒見させるのは心苦しいのですが…智の奥さんなら考えて頂けますよね」
和「………」
亜香里「………和也さん」
和「………うして…」
亜香里「はい?」
和「どうして…子供を捨てれるの」
亜香里「………」
和「苦しい思いをして産んで…10年育ててきたんでしょ。どうして簡単に捨てられるの」
絞り出す様な声で話しながら…かずが顔を上げた。
和「さとしの子供かもしれない。でも貴方の子供でしょう。結婚するからってどうして…」
智「………」
亜香里「仕方ないじゃないですか。彼が子供を望まないんだから」
和「は…?」
亜香里「一生じゃない。たまに会いに来るし…落ち着けば向かえに来るんだから良いでしょ」
「亜香里。子供に聞こえるだろ」
亜香里「この人が聞くから…」
「この人呼ばわりするな。かずはおいらの嫁だ」
亜香里「………すみません」
和「………」
亜香里「とにかく…智香の事お願いします。来週にはアパート引き払うんで」
和「来週!?」
亜香里「ええ。だから今日からでも見て下さって構いません。荷物は後で送るので」
智「お前そんな簡単に…」
するといきなりかずが立ち上がり、その手が思いきり亜香里の頬に飛んだ。