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君と僕の見ている風景【気象系BL小説】

第43章 divorce


ー和也sideー


その姿を見た時…俺は固まってしまった。
だって目の前に立つその人は…あの日楽屋の前で見たあの人だったのだから…。


亜香里「………初めまして。芹澤亜香里です」


「………大野和也です」


何事も無かったかの様に挨拶するその人に…俺も同じ様に頭を下げるしかなかった。


亜香里「智香。挨拶して?」


智香「せりざわともか…です」


「………智香ちゃん。宜しくね」


視線を下げ、顔を覗き込むとその少女は…恥ずかしそうにうつ向いた。


智「とりあえずさ…上がって?智香、ケーキあるよ?食べるか?」


智香「うん」


智が手を伸ばし、その小さな手を握ると智香ちゃんは嬉しそうに微笑んだ。


「………」


智香…。
さとし…もう呼び捨てにしてるんだ…。


リビングに歩いて行く後ろ姿を…俺は佇んだまま見つめた。


亜香里「………行かないんですか?」


「………あ、はい」


亜香里「お先に」


そして亜香里さんが2人の後を追い掛ける。


………少しだけ…取り残された気分になった。
まるであの3人が…本物の親子の様な…。


俺はグッと拳を握り締めて後に着いて行った。





智香「わぁ、赤ちゃん」


亜香里「この子が智也くん?智にそっくりだねー」


智「よく言われる」


亜香里「ほら智香。弟だよ」


智香「おとうと…」


その言葉に智香ちゃんは余計に嬉しそうに微笑んだ。


「………」


そんな俺の様子に気付いたさとしが立ち上がり俺の隣に立った。


智「智香。おいら達お話があるからここで智也と一緒に居てくれるか?」


智香「はい」


智「いい子だな」


智香ちゃんの頭を撫でながら立ち上がり、俺と亜香里さんを見つめる。


智「話そう」


亜香里「………はい」


俺達はカウンターに向かい合い腰を掛けた。
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