第42章 告白
ー智sideー
殴られるのは覚悟していた。
だっておいらはそれだけの事をしたんだから。
目の前のかずの瞳からは…ぽろぽろと涙が溢れていた。
和「………何なんだよ…何なんだよ!!」
「………」
和「帰って来るなり『子供が居た』!?それだけならまだしも…『引き取って育てる』!?ふざけるのもいい加減にしろよ!!」
今までに無い位のかずの怒号が…耳にキンと響いていた。
和「俺は…?俺と智也はどうするの?ねぇ…さとし」
「………このまま…一緒に居たい…」
和「は!?寝ぼけてんの?」
「………」
和「俺に子供の面倒見ろって?智也と同じ愛情注げって?何の拷問だよ!!」
「………」
和「意味が分からない!10年経って引き取るなんて…母親頭おかしいんじゃないの!?」
「………結婚するって」
和「は?」
「結婚するから…もう…子供育てられないって」
和「………」
「『幸せになりたい』って…言われた。おいら…亜香里の気持ち振り回して…捨てたんだ。そんなおいらの子供…16で産んで育ててくれた。幸せになって欲しいって思ってる。それがおいらの贖罪だと…思った…」
和「………その贖罪に俺を巻き込むの?一生…」
「………ごめん…」
和「………最低…」
「かず…」
暫くおいらを睨み付けた後…かずは立ち上がり玄関へと歩き出した。
「かず!待って…」
和「離して!」
「嫌だ…話し合おう。頼む!」
掴んだ腕を何度も振り払われる。
和「これ以上話したくない!あんたの外に産ませた子供の話なんて聞きたくない!!」
「かず…頼むからせめて出て行かないでくれ!!」
和「俺に触らないで!」
バシン!とまたかずのビンタが飛ぶ。
「………かず…」
和「考えを変えないなら…もう一緒に居られない…」
涙を流しながらかずがおいらを見つめる。
「………ごめん…」
するとぼろぼろと大粒の涙が溢れ出した。
和「………さよなら…!」
「かず!」
バタンと玄関の扉が締まり、おいらは玄関に取り残される。
追い掛ける事が…出来なかった。
「………かず…!」
押さえていた涙を流しながら…おいらはずるずると壁にへたりんだ…。