第42章 告白
「………嘘…でしょ」
嘘に決まってる…。
軽く返そうと笑ってみたけれど…顔が引きつってしまうだけだった。
さとしは何も言わずに顔を横に振る。
智「おいらの子供だ」
「そんな…。嘘付いてるだけでしょ。さとしが売れっ子になったから父親にうってつけだって…お金踏んだくれるから…」
智「そう…思いたかった。でもあいつは…亜香里は違う。そんな奴じゃない」
「………俺の前で他の奴庇うの?」
智「ごめん。でも…ちゃんと調べた。お前に話す時は…ハッキリしてからだと思って…。今日…その結果が出た」
さとしがポケットから折り畳んだ紙切れをガサガサと開いてテーブルに置いた。
「………DNA検査…?」
智「うん…」
「………」
そこには小難しい並びの文章がツラツラと書いてあった。
甲が…さとし?
乙が…その相手?
そして最後に書かれてあるのは…
『甲は99.999%以上の確率で乙の父親関係にある事を認める』
そう…書いてあった…。
「嘘…嘘でしょ…」
智「おいらの子供だ…10歳の…娘…」
「10歳…10年前…って…俺達付き合ってたじゃん!」
智「付き合ってたけどお互い気持ちは言ってなかったから…おいら悶々してて…その頃に…」
「そうだけど…でも…こんなのって…」
智「………ごめん…」
「………どうする…つもりなの…?」
するとさとしの口から出てきた言葉は…俺を絶望に落とす様な事だった。
智「………引き取って…育てるって…決めた」
「は…?な、に言ってんの…?」
引き取る…?
10歳の子供を…?
「ふざけないでよ…何言ってんの…」
智「………」
「さとし…」
智「もう…決めた…」
バシッとリビングに肌のぶつかり合う音が響いた。