第42章 告白
ー和也sideー
その日の東京はどしゃ降りの雨だった。
あっという間にツアーも終わって年が明け、仕事もスローペースになってきたこの時期。
「さむ…」
1月の雨は芯から冷える様に寒い。
さとしは昼だけの仕事だからもうすぐ帰って来るだろう。
身体が冷えてるだろうとスープを作っておいた。
智「ただいま」
いいタイミングでさとしが帰って来る。
俺は急いで玄関に向かった。
「お帰り」
智「ただいま」
「お疲れ様。寒かったでしょ?うわー冷えてる」
氷の様に冷たいさとしの頬を包むとそれにさとしの手が重なる。
「スープ作ってあるよ。飲む?」
智「ありがと。かず………話があるんだ」
「ん?話?」
智「………大事な話」
「どうしたの」
智「………座って話そう。長くなるから」
「え?」
さとしの手がそのまま俺を引いてリビングへと移動した。
向かい合わせに座ると…さとしはジッと俺の顔を見たまま手を握った。
「………さとし?」
深い深い…傷付いた様な瞳。
泣いてないけど…泣いてる顔。
「………どうしたの」
智「………本当に…ごめん」
「何が?」
智「おいら…かずを愛してる。愛したのは…お前だけだ。一生側に居たい。別れるなんて…おいらは絶対嫌だ」
「………さとし…?」
智「………」
「何が…言いたいの?言わないと…分かんない…」
智「………子供が…居る…」
「………子供?」
智「おいらの…子供…」
「………は…?何言ってんの。さとしの子供は智也でしょうが」
智「居たんだ…もう1人…」
「………」
智「………ごめん…」
「………」
ザァザァと降る雨の音が…やけに近くに感じていた。