第41章 Past surging
暦も変わり、おいら達は国立ライブに向けてリハーサルの毎日が始まった。
忙しくストレスを感じる毎日も…かずが隣に居るだけで負担が違う。
ライブに向けてテンションの上がる毎日を過ごしていた。
翔「はぁ~つっかれたぁ~…」
雅紀「まだ暑いねぇ…」
流れる汗を拭いながら俺達はリハーサルを終えぞろぞろと楽屋へと戻って行く。
「ちょっとトイレ…」
4人と離れおいらはふらふらとトイレへと移動した。
用を足し、手を洗っていると背後に感じる違和感。
「ん?」
………振り返っても誰も居ない。
奇妙な感じがした。
首を捻りながらも早く座りたかったおいらはそのまま入口を出た。
「智」
ふいに呼ばれ…振り返ると1人の若い男の子が立っている。
顔を見た瞬間…おいらは驚いた。
「あ…!え!?」
男「久し振りだね…智」
にっこりと微笑むその懐かしい姿…。
「………亜香里?」
名前を呼ぶとゆっくりと頷いた。
「どうしたんだよ。何でここに…」
亜香里「………ずっと会いたかった。でも…なかなか会えなくて。智…忙しいから。でも…やっと会えた」
「ちょっ…亜香里!」
抱き着いて来た亜香里から慌てて離れる。
すると寂しそうな顔で…おいらを見つめた。
「ごめん…で…どうしたんだよ」
亜香里「………今度会えない?2人で」
「………え?」
亜香里「………会いたい。お願い…話がしたい」
「いやでも…分かるだろ?おいらもう…結婚して子供だって…」
亜香里「………お願い。ほんの少しの時間でも構わないから…お願い…智お願い」
尚も懇願してくる亜香里に…おいらは冷たくする事は出来なかった。
「………分かった。時間見つけて連絡する。番号教えて?こっちから掛けるから」
亜香里「………」
「必ず掛けるから。もう嘘は付かない。約束する」
亜香里「………うん」
そして番号を聞いたおいらは亜香里と別れた。
楽屋に戻りながら…おいらは思い出していた。
亜香里と過ごした日々を…。