第39章 雅紀の決意
雅紀「珍しいね。松潤から飲みに誘うなんて」
「まぁちょっとね。たまにはいいじゃん?」
雅紀「いいけどさ、いつもは『早く翔と太陽の顔が見たい』って帰るくせにさー…」
「相葉くんだって『今日は綾ちゃんが唐揚げ作ってくれるんだ!』ってさっさと帰ってるじゃん」
雅紀「はっはっは。まぁお互い様だよね」
お互い笑い合ってるとバーテンが注文したお酒を並べた。
「じゃあ乾杯」
雅紀「乾杯~♪」
雰囲気のあるバーのカウンター。
チン、とグラスの良い音が響く。
「………最近どう?綾ちゃんとは…熱愛発覚して…」
雅紀「ん?あぁ…いつもマンションの前は何人か女の子が彷徨いてるけど中まで入れないし…裏口から入ってるから俺も綾ちゃんも平気かな」
「そっか…。この間ネットでさ…相葉くんの記者会見誉められてたよ。男気があるって」
雅紀「そうなんだ…ふふっ」
照れ臭そうに笑う相葉くんの横顔を見つめる。
俺は息を吸い、本題に入った。
「………綾香ちゃん…ファンの子に嫌がらせされてる」
雅紀「………え?」
「………しょっちゅう職場のジムに来るみたい。翔が見てる…殴られたって」
雅紀「嘘…綾ちゃんそんなの一言も…」
「言うなって翔に言ったみたいだ。でも翔はこのままにしておけないって俺に話してくれて。で…俺が相葉くんに話そうって…」
雅紀「………そんな…」
相葉くんが頭を抱える。
雅紀「前と…一緒だ…あの時も…綾ちゃん…」
「………」
雅紀「何で言わないんだよ…」
「………相葉くんを愛してるからだよ。きっと…話したら自分の為に無茶するんじゃないかって…芸能人である相葉くんを守ってるんだ」
雅紀「許せない…俺許せない!」
グラスをぎゅっと握り締める相葉くんの背中を俺は静かに撫でていた。