第39章 雅紀の決意
ー潤sideー
仕事から帰って来るといつもと変わらずに可愛い笑顔で迎えてくれた翔。
けれど気のせいなのか…時々何か考え込んでる様な…そんな素振りを見せていた。
気のせいかなと思ったけど…夕飯を一口食べてそれは確信に変わった。
「ん…」
翔「頂きます」
「翔…これ味見した?」
俺は目の前の肉じゃがを指差した。
翔「え?あ、してない…」
「だよな…砂糖いつもより多くない?」
翔「え?」
慌てて翔が一口口に運ぶと顔付きが歪んだ。
翔「あっ、あま…」
慌ててお皿を引っ込めた。
翔「ごめん…!」
「いいよ。俺が心配してるのはそこじゃないから」
翔「え…」
「何かあっただろ?気付かれない様にしてるつもりでも…俺が気付かないとでも思った?」
翔「………」
「翔」
翔「………あの…俺…」
「うん」
うつ向く翔の代わりに太陽にご飯を食べさせながら俺は翔が話すのを待った。
そして観念した様に翔が話す。
翔「『言わないで』って言われたんだけど…でも…どうしても心配で…綾ちゃんの事…」
「綾香ちゃんがどうしたの」
翔「今日ジムに行ったじゃん俺。そしたら綾ちゃん…相葉くんのファンの子達だと思うんだけど…いきなりジムに押し掛けられて囲まれて…殴られてた」
「え!?」
翔「『別れろ』って…。俺が仲裁に入ったから大事にはならなかったんだけど…初めてじゃないらしいんだ」
「………マジか…」
翔が前髪をくしゃっと掻き上げながら…鼻をすする。
翔「………平気だって。相葉くんの側に居られるだけで幸せなんだって。負担になりたくないから…言わないでくれって…」
………本当に…ファンの子達って…どこから情報を仕入れてくるか分からない。
週刊誌の記事だって綾香ちゃんの顔にはモザイク入ってたのに…。
翔「潤…。綾ちゃんの気持ち分かるけど…放ってはおけないよ…!どうしよう…」
「うん。考えよう…な?」
翔の頬を撫でながら俺は大きく頷いた。