第39章 雅紀の決意
「はい」
綾香「………ありがと」
塗れたタオルを綾ちゃんに渡すと彼女は力なく微笑んで受け取った。
殴られた頬にタオルをあてながら綾ちゃんは乱れた髪を直す。
「大丈夫?」
綾香「平気よ。ありがとう」
「ごめんな。こんな職業だから…迷惑掛かって」
綾香「ふふっ、そう思ってたら彼と付き合ってない。それにね…ああいうの初めてじゃないから」
「え?」
綾香「………まー君と…よりを戻してから…たまに居たの。でもきっとまー君に知れたら…私の為に今よりもっと色んな物犠牲にすると思うから言わなかったの」
「そんな…」
すると綾香ちゃんが俺の手を握る。
綾香「まー君には…言わないで?」
「え…でも…」
綾香「まー君が私と一緒に居てくれる。それだけで幸せだから耐えられるもの。だから翔くんお願い」
「………綾ちゃん…」
綾香「言わないで…平気だから」
「………分かった…」
必死で懇願する彼女を見て…俺はそうとしか言えなかった。
綾ちゃんを放ってはおけない。
俺達のファンの事だ。きっと…エスカレートするに違いない。
以前の時の様に…綾ちゃんが相葉くんの為に相葉くんの元を去ったら…きっと2人共立ち直れない。
俺は…ただ目の前の綾ちゃんの手を強く握るしか出来なかった…。