第38章 夫婦のカタチ
「む…迎えに来たって…」
智「相葉ちゃん綾香ちゃん。申し訳ないけど…智也…一晩だけ預かってもらっていい?太陽くんも居るのに大変なのは承知で頼みたいんだ」
並んで立つ2人がクスッと笑いながら頷いた。
雅紀「いいよ」
綾香「2人でちゃんと話してね?」
智「ありがと。じゃあ」
「えっ…ちょっとさとし!」
さとしはそのまま俺の手を引いて荷物も持たずに相葉さん家を出て行った。
「ちょっとさとし…離してよ!離せ馬鹿!」
俺には何も言わないさとしから離れようと掴まれた腕をぶんぶん振り回す。
智「静かにしろって。話は帰ってから」
「誰も帰るなんて言ってない!いきなり押し掛けて何なんだよ!」
智「ったく…」
タイミング良く開いたエレベーターに押し込められた。
「離してよ!さと…」
壁に押し付けられ、そのままさとしの唇が俺のをふさいだ。
「んんっ…や…」
逃げようにも身体をしっかりホールドされててそれが出来ない。
さとしの舌がゆっくりと俺の口内に侵入する。
「ん…ふぅ…」
久し振りのさとしのキスに…頭が痺れる感覚になる。
気付けば抵抗を止めてさとしにしがみついていた。
やがてエレベーターが止まると同時にさとしの唇が離れる。
「もう…何なんだよ…」
力の抜けた腰をさとしが支えてくれた。
智「………まだ怒ってるなら…それでいい」
「………は?」
智「おいら何も言ってねぇし。お前が勝手にキレてんだからおいら悪くねぇよ。でもな」
「………」
智「………愛してっから。お前が居ないと無理。だから帰るぞ。お前はおいらの側にいろ」
「さと…」
………一気に胸を鷲掴みにされた。
もう…やだ…馬鹿…。
そしてそのままさとしに手を引かれ、俺はタクシーに乗り込んだ。