第36章 翔の家出
「翔。今回の事…本当に悪かった。ごめん」
翔「………」
「太陽が大変な時なのに仕事仕事で…。翔の事気遣ってやれなかった。本当ごめん」
翔「………」
「だから…戻って来てくれないかな?」
さう言うと翔は静かに首を横に振った。
翔「ごめん…まだ無理…」
「翔…」
翔「………家出たのは…潤の顔見たくなかったから…だからお願い。もう帰って…」
「翔…!頼むよ。翔の居ないあの家に俺は1人で居たくないよ…」
「や…離して…!」
翔を抱き締めると腕の中でもがいた。
「翔お願いだから」
翔「嫌だ」
「翔」
翔「嫌!」
頑なに翔に拒まれ、俺はゆっくりと…翔から離れた。
「………そんなに…許せない?翔と太陽を…ほったらかしにした事…」
翔「………それだけじゃない」
「え…」
潤んだ目を拭いながら翔は俺を見つめた。
翔「………『セックスすれば翔は機嫌が直る』って…言ったの覚えてる?」
「は?俺が…?」
翔「やっぱり…覚えてないんだね」
「そんな最低な事言ったの?」
翔「本気じゃないのは分かってる。でも…潤にそんな事言われて…傷付かない訳ない」
「本気な訳ないよ!そんな事微塵も思ってない!!本当にごめん!」
翔「………暫く…俺の気持ちが落ち着くまで…ここに居させて。お願い」
「………」
翔「ごめんなさい。あの言葉が頭から離れなくて…。今は…戻るの無理…」
「………翔…」
俺の…不用意な行動と…言葉が…翔を深く傷付けていた。
これ以上俺は…翔に何も言えなかった。