第33章 太陽の兄弟
翌日。
3人で動物病院に入った瞬間、先生に声を掛けられる。
獣医「松本さん丁度良かった。お入り下さい」
「え?」
獣医「どうぞ」
潤「翔行こう」
「あ、うん…」
太陽を抱えた潤に手を引かれながら俺達は診察室へと入って行った。
潤「え…」
「嘘…」
診察室の右側にあるガラス張りのショーケース。
そこには怪我や病気で入院している犬や猫が静かに過ごしている。
1番下の左側のショーケースに…昨日の子猫は居た。
子猫「ニャー」
俺と目が合うと…その子猫は元気よく声を上げた。
昨日とは…全く違う。
元気なその姿に俺は涙が出そうになった。
潤「昨日と全然違う…」
獣医「私も一晩でこんなに回復するとは思いませんでした。数値も正常ですし。怪我した箇所の包帯が取れるまでは通院してもらいたいですが…もう大丈夫ですよ」
太陽「にゃんにゃん!」
子猫「ニャー」
「………」
獣医「どうされるか…決めましたか?」
潤「翔。どうする?」
「………こんな姿見せられて…連れて帰らないなんて…出来ないよ」
そう言うと潤はにっこりと微笑んだ。
潤「大変だぞ。子供が1人増えるみたいなもんだから」
「それって…最高じゃない?」
潤「翔…」
「この子…神様から授かった…太陽の弟だよ」
潤「………それでこそ俺の奥さんだな。惚れ直した」
「ふふっ。よし太陽。この子と一緒に帰るよ」
太陽「にゃんにゃんもかえる?」
「そう。太陽の弟だよ」
太陽「おとーと…」
潤「仲良くするんだよ」
太陽「あい!」
獣医「………いいご家族ですね」
「いえ…そんな」
獣医「すみません。芸能人の方ってもっと気取ったイメージでした…。こんな素敵な方々だなんて」
「嬉しいです」
獣医「何かあったらいつでもご相談下さいね」
潤「ありがとうございます」
俺達は頭を下げた。
2010年冬ー。
俺達に新しい家族が…増えました。