第33章 太陽の兄弟
ー翔sideー
帰りの車の中、いつの間にか太陽は眠ってしまっていた。
潤がぽんぽんと太陽の背中をリズムよく叩きながら俺を見つめる。
潤「………母猫と…はぐれたのかな…」
「多分…。先生が言うには2・3日前にはぐれたんだろうって。衰弱も激しかったみたいで…。生後1ヶ月位みたい」
潤「そっか…」
「多分…太陽と変わらない位だって…」
潤「………だよな…」
偶然に居合わせてしまった猫の事故現場。
潤は動物好きだけど俺は苦手で…今まで飼った事もない。
でもあの時は身体が勝手に動いてしまった。
雨の中大怪我をした小さな命を放っておく事なんて出来なかった。
自然界は厳しい。
そうやって潰えていく命も沢山ある。
無責任に簡単に助け船を出す事がよくない事も…分かってる。
でも…あの黒い子猫は…必死に生きようと頑張ってる。
素通りするなんて…鬼だ。
「太陽ね…あの子が跳ねられたら真っ先に駆け寄って行ったんだ」
潤「そうなの?」
「うん。『にゃんにゃん!』って…」
潤「そっか…」
今は…とにかく、あの子猫の無事を祈るしかない。
明日…また病院に行こう。
そう決めたのだった。