第32章 Sexual harassment
松岡「落ち着け大野。冷静になれ」
「落ち着いてられっかよ!かずが…かずが…」
松岡「今お前が冷静さを欠いたらどうなんだよ」
「冷静でいられる方がどうかしてる!!」
松岡「大野!!」
松兄の大きな手がおいらの頬を包む。
松岡「だから俺が来てるんだ。落ち着かせる為にな。落ち着け大野。お前が冷静にならないと…何も出来ないぞ」
「………」
松岡「傷付いたにのの為にも…まずはあいつの事考えてやれ」
おいらの中で吹き出した感情が…少しだけ…収まった気がした。
松岡「よし」
優しく微笑みながら松兄の手が離れる。
松岡「じゃあ俺帰るから。にのの事頼むな」
「うん。ありがとう…松兄」
松岡「いいって」
松兄を見送ると…おいらは直ぐに寝室に戻った。
「かず…」
かずは毛布にくるまってベッドに腰掛けたままだった。
和「ぐすっ…ふっ…」
「もう…大丈夫だから」
和「や…!」
毛布に手を掛けるとかずは嫌がり身を捩った。
和「お願い見ないで…」
「かず。大丈夫だから…」
かずを抱き締めながらおいらは毛布を落とした。
和「っっ…ごめんなさい…」
ボタンの取れたシャツから白い肌が覗いていた。
急いで逃げて来たのだろう…ベルトは金具に皮の部分が通されてなかった。
手首には…強く掴まれたのか、痣になっていた。
「守れなくて…ごめんな…」
そっとかずを引き寄せ…抱き締める。
和「さとし…」
「うん。大丈夫だよ」
和「ぐすっ…怖かった…怖くて…必死で逃げて…」
「うん」
和「さと…さとっ…!」
泣きながらしがみつくその小さな身体をおいらはいつまでも抱き締めた。