第32章 Sexual harassment
松岡「よし、と…」
松兄がゆっくりとベッドにかずを降ろした。
和「………」
「ありがと松兄」
松岡「打ち合わせが長引いてな。不幸中の幸いだった」
「かず…何か飲む?」
かずは黙って首を横に振る。
「松兄コーヒーでいいかな」
松岡「サンキュ。貰うよ」
寝室を出てキッチンに入り、コーヒーメーカーを作動させる。
マンションのエントランスで見たかずは…松兄の腕の中で震えていた。
人に見られたくなかったからとテレビ局から借りた毛布にくるまれて。
服は…所々ボタンが飛び散り、破れたりしていた。
その姿を見て思い出した…2年前の翔くんに起こった出来事。
まさか…まさかかず…。
おいらの腕がカタカタと震えた。
松岡「大野」
気が付くと松兄が後ろに立っていた。
「あ…ご、ごめん」
松岡「大丈夫か」
「………なぁ松兄。かずは…かずは…」
松岡「………分からない。何も答えなくて」
「………そうか…」
松岡「それで…大野。落ち着いて聞けよ」
「え?」
松岡「にのに会って…俺の楽屋に戻った後にののマネージャー呼んだんだよ。そしたらさ…」
「………何…?」
松岡「………入れ違い位ににのの楽屋に入ったらしい。遅かったから迎えに。そしたら…脚本家の橋本さん。あの人が…床に倒れてたみたいだ。その…下半身露出した状態でな」
「………」
松岡「起こしたら直ぐに意識戻って…慌てて出てったみたいだ」
「………嘘だろ…」
松岡「それで俺がにの送る事にして…マネージャーはジュリーさんに話すって…」
一気に頭に血が上った。
「くそっ…殺してやる!!絶対許さねぇ!!」
松岡「大野落ち着け!」
「落ち着いてられるかよ!!」
松岡「いいから落ち着け!!」
肩を掴まれ、ペシッと頭を叩かれた。