第32章 Sexual harassment
「ありがとうマル…」
ペットボトルのお茶を飲みながら、俺はマルを見つめた。
丸山「大丈夫っす。全くあのセクハラじじぃ…」
「本当…」
思わず大きなため息を付く。
丸山「いつから…されてるんですか」
「最初は何年か前かな。出た映画の脚本担当で…。その時は大した事無かったんだ。でも今回の最初の顔合わせした帰りにさ…いきなりホテル誘われた」
丸山「は?」
「勿論断ったけどさ…脚本家だから簡単にあしらう事出来ないしさ。あの人業界で名の通った人だし…」
丸山「でも…それってセクハラじゃないですか。ハッキリ言っても…」
「俺1人に返ってくるならとっくに言ってる。でも俺はグループだから。この事で他のメンバーに影響あったらたまったもんじゃないから」
丸山「二宮くん…」
「マルこそ…なんで分かったの?」
丸山「2人がセットの裏で話してるのたまたま見て…その…お尻触られてたからあれ?って。それで…さっきあいつがここに入って来るの見て…まさかって」
「でも…助かったよ。ありがとうマル」
丸山「いえ。気付かなくてすみません」
「マルが謝ってどうすんの」
丸山「後輩なのに…何も出来なくて…」
「今助けてくれたじゃん。マルが居たからあれ以上何もされなかったんだから。ありがとう」
丸山「あいつが居る時出来るだけ二宮くんの側に居ますから…」
「………ありがと。でも無理しないでよ。役に集中してもらいたいから」
丸山「ありがとうございます。でも…やらせて下さい」
「ありがとう。さ、帰ろうか」
丸山「はい」
マルと一緒に楽屋を後にする。
マルのお陰で…ほんの少しだけ、気持ちが楽になった。