第31章 Full of more happiness
明かりの付いたリビングに入ると…翔は冷蔵庫から出して来た缶ビールを1缶ぐいっと飲んでいた。
「翔」
隣に座るとチラリと翔が俺を見つめる。
怒ってるというか…拗ねてる感じだった。
翔「ふぅ…」
半分程飲むと…テーブルに缶ビールを置いて息を吐く。
翔「………蹴ってごめん」
「いや…。でも…俺何か怒らせる事した?」
翔「………何で自覚無いかなこの人は…」
翔が深く溜め息を付く。
「え…え?」
翔が姿勢を正して俺の方に向き直る。
翔「潤…最近えっちが雑」
「え?」
翔「やっぱり気付いてない…」
「ざ、雑…?」
翔「あのベッド買ってから…凄く淡白になった」
「そう、かな…ほら。太陽も一緒に寝てるから…」
翔「………でも…最近前戯ほとんど無いじゃん。キスして少し触って…。今えっちにかけてる時間…めっちゃ短いし」
「そうだっけ…?」
翔「………この間は30分掛からなかった」
「測ったの?」
翔「時計見てたんだよ。何か…昔はあんなに沢山キスして蕩けさせてくれたのに…最近はただの性欲処理みたいだし…ただ気持ちいいだけだもん。気持ちがない。さっきだって…『もう直ぐに挿れてもいい』なんて…」
「ご…ごめん…。全然気にしてなかった…」
翔「だよね…とにかくえっちしたかっただけだろ?でもさ…それって誰でもいいんだよね。こういうのからセックスレスが始まるんだよね…浮気とか…」
翔がそっぽを向いて鼻をすする。
翔「潤ばっか責めちゃいけないよね。奥さんにも原因あるし…ぐすっ…そりゃ…ずっと抱いてたら飽きるだろうし。俺は…飽きないけど…」
「ご…ごめん!そんなに気にしてたなんて…。でも浮気なんてないしセックスレスも絶対ないから!翔だけだよ。誓う!」
翔「………」
「最近忙しかったからやっつけになってたかも。でも…翔しか抱かないから。こんなにセクシーなんだから」
翔「本当に…?」
「本当だって。ほらおいで…」
俺は翔を抱き寄せながら腰に手を回した。
「お詫びに今から…すっげー蕩けさせてやるよ。松本潤のテクニックフルパワーで」
翔「あっ…」
翔の耳元で囁きながら…俺はテーブルの缶ビールを手に取った。