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君と僕の見ている風景【気象系BL小説】

第31章 Full of more happiness


和「翔さん…あのね…」


ゆったりとテレビを見ながらくつろいでると…にのが神妙な面持ちで手に冊子を持って隣に座る。


「どうしたの?」


和「まださとしにも話してなくて…翔さんの意見聞きたいなって…」


「俺の…?」


和「………ドラマのオファー…来てて…」


「え?もう?」


和「これなんだけど…」


にのが手に持っていたのは台本で…そっと俺に渡した。


「しかも10月期って…遅くても9月から撮影だろ?」


和「うん…」


「えー…早くない?」


渡された台本をパラパラと捲る。


ドラマの内容は…新卒で入社した会社を3ヶ月で辞めた青年が…再就職も決まらずに引きこもりになる。
そんな矢先母の鬱病が発覚して…アルバイトをしながらその母親の為に家を買うという目標を掲げて努力していくという話だった。


特に派手な内容や演出も無い…静かな話。
けれど…力強くて…心を掴まれる話。


「………凄いね…」


読み終わった台本をにのに返し、呟いた。


和「うん」


「にのは…やりたいの?」


和「………」


少し躊躇った後…にのが口を開く。


和「………最初は断ろうと思った。まだ…智也産んだばかりだし子育てに集中したかったから。でも…台本読んで…すっごい惹かれた。やってみたいって…思ったんだ。でも…」


「でも?」


和「智也が今1番手が掛かるし…母親として一緒に居たい。それに…さとしと約束してたんだ。復帰は年明けからだねって」


「………」


和「でも…この役やらなかったら後悔しそうな気がして…。いい話なんだよ。だから…やりたい。その気持ちとずっと葛藤してて…どうしていいか…分からない…」


「にの…」


和「翔さん…翔さんなら…どうする?」


「………」


にのの気持ちが…痛い程に伝わってきた。


どう…答えればいいんだろう。
俺は黙ってにのを見つめた。
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