第30章 家族の絆
「ただいまー」
和「お帰りさとし」
和母「お帰りなさい」
病室に入るとかずが笑顔でおいらを迎えてくれる。隣のベビーベッドでおいら達の赤ん坊が…スヤスヤ眠ってる。
和「さっきおっぱい飲んだよ」
「そっか」
笑いながらお義母さんの方を見ると…優しく頷いた。
「かず。あのさ」
和「何?」
「………明日…会って欲しい人が居るんだ」
おいらは話しながら椅子に腰掛ける。
和「ん?誰」
「………お義父さん」
和「………」
かずの表情が固まる。
和「………どういう事?」
「お義父さんに…さっき会って来た。それで…かずとこの子の写真渡して来たんだ。それで…明日会いに来てくれって頼んだ」
和「………」
「………かず…」
和「………ずっと…会ってなかったのに今さら関係無いよ。事務所入った時だって…結婚した時だって連絡してないんだから」
和母「和」
お義母さんがかずの手を握る。
和母「言わなかったけど…私たまに連絡取ってたのよ。電話だけだけど。だから…貴方が事務所入ったのも結婚したのも…あの人は知ってるの」
和「え…」
「ずっと…ジュニアの頃からテレビ観てたって。デビューしてからも…。全部録画して保存してるんだって」
和「………」
驚いた顔で…かずがおいらとお義母さんを見つめる。
和母「和。貴方は優しいから…離婚する時大変だったの覚えてくれてるから…気を使ってくれてたのも分かる。でも…もうあれから10年以上だし…あの人も今は真面目に仕事してるの。あの時とは違うから。だから…私に気兼ねせずに会って欲しいの」
和「………」
かずの瞳から…ぽろりと涙が溢れる。
そして…一言だけ呟いた。
和「別に…どうでもいいよ…」