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君と僕の見ている風景【気象系BL小説】

第30章 家族の絆


昼下がりの東京。


おいらは指定された麻布にある静かな喫茶店の1番奥のテーブル席で…相手が来るのを待っていた。


落ち着かなくて…かずを何とか誤魔化して早目に病院を抜けてここに着いてしまった。
約束の時間まで後30分もある…。


けれど…。


カランカランという音に顔を上げると…作業着姿の1人の中年男性が…こちらを見つめながら中に入って来る。
目が合った瞬間、おいらは慌てて立ち上がり、頭を下げた。


「どうも初めましてお義父さん。大野智です」


和父「初めまして…テレビでいつも拝見しております。和也の…父です」


「宜しく…お願いします」


和父「大野さんも…早くに来てしまいましたか」


「すみません落ち着かなくて」


和父「私もです」


軽く笑い合いながら挨拶をしておいら達は向かい合って座った。


「すぐに…分かりました。お義父さんだって」


和父「そうですか?」


「はい。全体的にはお義母さんに似てますけど…目元がお義父さんにそっくりです。後猫背なとこ」


和父「ははっ…和也も猫背ですか…」


「はい」


和父「そうか…」


「………」


和父「………」


懐かしそうな瞳で…お義父さんは遠くを見つめる仕草をした。


「お義父さん」


和父「はい…」


「これ…見て欲しくて」


和父「え…」


おいらは鞄から1枚の写真を取り出した。


和父「これ、は…もしかして…」


「昨日…産まれました。男の子です」


それはさっき病室で撮った写真。
子供を抱えて幸せそうに微笑むかずの写真。


和父「さっき…和子から電話があって驚きました。これを…私に…」


「はい」


和父「離婚してから子供達に会ってもいない私にこの事をわざわざ…。大野さん…ありがとうございます」


写真を両手で大事そうに取り、お義父さんはうっすらと目に涙を浮かべた。


「いえ。それに本当のお願いは…他にあるんです」


和父「え…」


そしておいらは…心に決めていたお願いをお義父さんに伝えた。
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